2023年5月27日(土)に千葉県千葉市中央区大巌寺町にある徳川家康と関係があり朱塗りの山門が見事な大巌寺に行ってきました。
大巌寺は天文20年(1551年)、下総国生実城の城主であった原胤栄夫婦が開基、貞把上人の開山により創建されました。山号は龍澤山、宗派は浄土宗になります。
2世・虎角上人は徳川家康と関東の寺院の中では最も早期から親交を持ち、徳川家康が江戸に入った天正18年(1590年)8月1日以前の「家康書状(同年5月23日及び25日付)」、「家康寺領安堵状(同年7月28日付)」などの資料から分かります。大巌寺は幕府の祈願時となり元和3年(1617年)には寺領100石が寄進されました。
江戸時代には末寺24箇寺を持つ檀林で浄土宗の関東十八檀林の一つとして隆盛を極めましたが、江戸の檀林の盛況によって次第に衰微しました。
大巌寺にはいつの頃からか「七不思議」が伝承されており現在に至ります。
今回、実際に大巌寺に参拝してきましたので七不思議や見どころ、御朱印、ご利益、アクセス・無料駐車場をわかりやすくご紹介したいと思います。
大巌寺へのアクセス・駐車場
交通機関を利用
◎JR線(京葉線・内房線・外房線)「蘇我駅」下車、「蘇我駅東入口」バス停より[花輪線]花輪行乗車約8分(230円)、「大森町」バス停下車、大巌寺まで450m、徒歩で約5分
◎京成千原線「大森台駅」下車、大巌寺まで1.6km、徒歩で約19分
◎JR線(京葉線・内房線・外房線)「蘇我駅」下車、大巌寺まで1.9km、徒歩で約25分
自動車を利用
◎カーナビに大巌寺の電話番号「043-261-2917」を入力、または大巌寺の住所「千葉県千葉市中央区大巌寺町180番地」を入力し検索
駐車場
大巌寺には普通自動車が約30台駐車可能な参拝者用の無料駐車場があります。駐車場は境内入口の右側にあり、土曜日の午後に参拝に訪れましたが混雑もなく空いていました。
大巌寺の参拝と見どころ
大巌寺の参拝開始
大巌寺の入口には「関東十八檀林霊場 第六番札所」の石碑が立っています。門の屋根には「葵の御紋」が見られ、徳川家と関係がある寺院であることがわかります。
重層朱塗りの見事な三門
門を潜ると正面に立派な重層朱塗りの三門が現れます。江戸時代中期に建立されたもので、間口五間半です。老朽化の為、昭和45年(1970年)に使える材料を使用して復元されました。
三門には山号の「龍澤山」の扁額が掛かり、その隣には般若と仏様の木彫り面が置かれています。周囲は青紅葉で包まれ、秋になると真っ赤な紅葉が境内を彩ります。
参道沿いには四季折々の花
三門を潜ると本堂まで真っすぐ参道が続いています。参道沿いには桜や梅、紫陽花等などが植えられており四季折々の花を咲かせています。かつて大巌寺にあった森は川鵜の生息地で県の天然記念物にも指定されていました。しかし工業開発と都市化による自然環境の変化によって川鵜の姿は見られなくなりました。
本堂向拝欄間彫刻と仏力加祐の木
本堂は桁行き5間、梁間4間の建築物で、正面に唐破風造の向背を付けています。江戸時代中期に建立され、明治と昭和にそれぞれ改修された記録が残ります。正面の「大巌寺」の扁額の文字は桃園天皇(1741年~1762年)の筆と伝わっています。
本堂で特に目を引くのが向拝に施されている精緻で見事な彫刻です。かつてこの地に生息していた鵜が子供に餌を上げている姿が透かし彫りで施されています。その側には徳川家の家紋もあります。
本堂の左には一際大きなクスノキの巨樹が立っています。昭和46年(1971年)まではこちらの木に鵜が生息しており、「鵜の森」の歴史を今に伝えます。クスノキは一時期生気を失っていましたが、奇跡的に蘇ったことから「仏力加祐の木」と呼ばれ生命のパワースポットとなっています。クスノキの右の建物は不動堂です。
大巌寺の七不思議
大巌寺には七不思議が伝わっていますのでご紹介いたします。
①龍が澤(旧跡)
かつてこの地には龍神が住むと伝わる「龍が澤」と呼ばれる澤がありました。道誉上人が念仏を唱えていると阿弥陀仏が現れ法を授けました。その後老いた龍女が現れたので浄土の法を授けたと伝説が残る場所です。隣接する淑徳大学の低地中庭(人口芝)周辺にあったと伝わります。
②不鳴の池
三門の前にあるのが「不鳴の池」です。道誉上人の下で多くの学僧が修行していましたが、夏になると毎夜カエルがうるさく泣き修行の妨げとなりました。そのため道誉上人がカエルを諫めたところ修行中は鳴かなくなったと伝わります。
③虎角の杉
「虎角の杉」も三門の前にあります。徳川家康と親交があった虎角上人が大変この杉を愛し、この杉の下で念仏を唱えていました。上人の没後、この杉にまつわる不思議な瑞祥が多く見られたと伝わります。
④雨降り井戸
「雨降り井戸」は、参道の左にある子育て地蔵尊脇の通路左後方にあります。日照りが続いたときに農民たちの願いによりこちらの井戸で雨乞い祈願をしました。すると数日の内に恵みの雨がもたらされ人々が歓喜したと伝わります。
⑤開かずの間
「開かずの間」は本堂右にある書院上方の窓のことです。江戸時代、左窓の奥の天井裏に6畳ほどの開かずの間がありました。当寺に駆け込んできた罪人や被疑者、年貢の滞納者を匿う部屋として使われました。
⑥本堂向拝欄間彫刻と「仏力の木」
本堂の「向拝欄間彫刻」と近くの「仏力加祐の木」も七不思議の一つに数えられています。本堂の「向拝欄間彫刻」にはかつて生息していた鵜の彫刻が施され、仏力加祐の木は鵜が生息していた唯一の大樹です。鵜が絶滅するまで生気を失い弱っていましたが、鵜の絶滅後に蘇りました。仏力による加護によるものと考えられ仏力加祐の木と名付けられました。
⑦鵜の森・不動明王霊験絵図
大巌寺の宝物殿で展示されている「鵜の森・不動明王霊験絵図」も七不思議の一つに数えられています。宝物殿は入館無料ですが、常時開館していませんので見学したい場合は事前の確認(Facebookか電話)が必要です。
御朱印
御朱印は本堂右の寺務所で頂くことが可能です。御朱印は真ん中に徳川家の家紋が押印され、「南無阿弥陀佛」「龍澤山」「大巌寺」と書かれた御朱印です。
おわりに
大巌寺の所要時間ですが、ゆっくり参拝した場合で約20分でした。入口の山門は見事で迫力がありました。徳川家と縁のあるお寺で様々な場所で徳川家の家紋を見ることができました。境内は綺麗に整備・維持されており、四季折々の花が参拝者を楽しませてくれます。本堂の向拝に施された彫刻も素晴らしく、大巌寺に伝わる七不思議のスポットも興味深く見学させていただきました。見どころいっぱいの大巌寺に是非一度参拝してみてはいかがでしょうか。
大巌寺 | |
住所 | 千葉県千葉市中央区大巌寺町180番地 |
電話番号 | 043-261-2917 |
拝観料 | 無料 |
アクセス | ■交通機関を利用 ◎JR線(京葉線・内房線・外房線)「蘇我駅」下車、「蘇我駅東入口」バス停より[花輪線]花輪行乗車約8分(230円)、「大森町」バス停下車、大巌寺まで450m、徒歩で約5分 ◎京成千原線「大森台駅」下車、大巌寺まで1.6km、徒歩で約19分 ◎JR線(京葉線・内房線・外房線)「蘇我駅」下車、大巌寺まで1.9km、徒歩で約25分 ■自動車を利用 ◎カーナビに大巌寺の電話番号「043-261-2917」を入力、または大巌寺の住所「千葉県千葉市中央区大巌寺町180番地」を入力し検索 |
駐車場 | 普通自動車が約30台駐車可能な無料駐車場あり |