【続日本100名城 第110番】三春城跡を徹底解説|戦国山城と藩主居館を楽しむ歴史散策

2026年2月4日、福島県田村郡三春町にある三春城跡を訪れました。
三春城跡は続日本100名城 第110番に選定されており、現在は公園として整備されています。
この城の最大の特徴は、岩山の地形を巧みに取り入れた山城ならではの縄張りです。石垣や土塁、堀切といった遺構が随所に残り、戦国期の防御性と、江戸時代に入ってからの居館機能の両方を体感できる貴重な城跡です。
三春城跡の歴史と築城背景|戦国山城から藩主居館へ
三春城は、永正元年(1504年)頃に田村義顕によって築かれたと伝わる山城です。鶴が舞う姿を吉兆として「舞鶴城」とも呼ばれ、田村氏の本拠地として発展しました。急峻な斜面と段状に連なる曲輪を活かした構造は、戦国時代の実戦的な築城思想をよく伝えています。
その後、伊達氏の勢力拡大に伴い支配関係は変化し、近世に入ると三春藩の居城として整備が進められました。寛永5年(1628年)には松下長綱が入封し、城は軍事拠点であると同時に藩政の中心としての性格を強めます。本丸周辺には藩主の生活や政務に関わる建物が整えられ、山城でありながら居館的な機能を持つ城へと姿を変えていきました。
明治維新後に廃城となり建物の多くは失われましたが、曲輪の配置や石垣、堀の地形は良好に残り、現在は歴史公園として公開されています。
三春城跡散策ガイド|本丸居館エリアを歩く
① 本丸裏門跡から登城|駐車場すぐの散策ルート

今回は本丸直下にある駐車場を起点に、城の裏手にあたる本丸裏門跡の方向から登城しました。三春城跡ではこのルートが定番のひとつで、駐車場からすぐに城の主要部へアクセスできるのが魅力です。裏門跡を経由して本丸跡へ向かうこの道のりは、移動距離が短いですが見どころが多く、効率よく遺構を巡れる散策コースとして人気があります。

徒歩1〜2分ほどで本丸裏門跡に到着します。駐車場すぐ下にある階段を上がっていくと、途中で搦手門跡や矢倉跡に残る土塁や石垣が現れ、城の防御構造を感じながら北側の入口へと向かいます。
② 本丸裏門跡|枡形虎口と二階建て櫓の防御構造

坂を上り切ると、本丸裏門跡に到着します。この裏門は、高さ約3.6メートルの石垣の上に二階建ての櫓門を備えた、枡形構造の堅固な虎口でした。防御だけでなく、有事の際には退路としての役割も担っていた重要な出入口です。
③ 本丸跡|戦国期から江戸期までの改修跡を観察

三春城跡の本丸は、城の歴史の変遷を今に伝える中心部です。もとは戦国期に田村義顕が築いた山城の主郭で、のちに蒲生氏の時代に石垣が加えられ、江戸時代に松下長綱が入封すると近世城郭として整えられました。本丸には、こうした時代ごとの改修の跡が重なって残っています。
本丸跡は上下二段に分かれる構造が特徴で、上段が藩主の生活や政務の場、下段がそれを支える空間だったと考えられています。三春藩の中枢を担った重要な場所です。
標高約400メートルの地形を活かした本丸からは三春の町並みを一望でき、城主と同じ目線で城下を見渡すような感覚を味わえます。
本丸の東屋には「続日本100名城 第110番」のスタンプが設置されており、年中無休で無料押印が可能です。もう一か所の設置場所である三春町歴史民俗資料館(徒歩約20分・9時〜17時)とあわせて巡るのもおすすめです。
④ 風呂屋跡|江戸初期藩主専用浴場の遺構

本丸北側の杉の丸にある三春城跡の風呂屋跡は、江戸初期に松下氏が整備した藩主専用の浴場です。建物は脱衣室(約10畳)、蒸し風呂室(約12.5畳)、蒸気発生室(約12.5畳)の三室からなり、総面積は約68㎡ありました。
蒸気を使ったサウナ式の造りは当時としては非常に珍しく、本丸御殿から独立して建てられていたことからも、格式ある特別な施設だったことがうかがえます。城内の生活文化を今に伝える、貴重な遺構のひとつです。
⑤ 御座之間跡|藩主が家臣を迎えた控えの間

本丸上段にある御座之間跡は、藩主が家臣を迎えた控えの間の跡です。江戸初期、松下長綱入封後(1628年頃)に整備された御殿の一部で、4室が雁行型に並ぶ奥行13間・幅4.5間の構造でした。大広間に面した東側の縁側からは三春の山々を見渡せ、藩主が家臣と謁見や儀式を行った様子を想像できます。出土した四つ目紋の鬼瓦からは、松下氏の洗練された城郭文化も感じられます。
⑥ 台所跡|藩主儀式用の料理施設

本丸上段西側にある台所跡は、藩主の儀式用の料理を支えた重要なスペースです。松下氏時代に整備された建物の跡が残り、平らな広場や竈の跡から往時の雰囲気を感じられます。囲炉裏や大広間に隣接した構造は、新鮮な食材をすぐに調理できる工夫がされていたそうです。藩の食文化を支えた歴史を想像しながら歩けるスポットです。
⑦ 大広間跡|御殿中心の壮麗な空間

本丸上段の中心にある大広間跡は、江戸初期に松下長綱によって整備されました。大広間は、松下長綱が改築した御殿群の中核をなす建物で、御上之間・中之間・広間の3室で構成され、6間×16間、屋根の高さは約12.6メートルの壮麗な規模を誇っていました。柱のない広々とした空間には多くの家臣を収容でき、三階櫓と肩を並べる荘厳さで、藩政の力と格式を示していたと伝えられています。
三春城跡へのアクセス・駐車場・営業時間情報
| 所在地 | 福島県田村郡三春町 |
|---|---|
| 最寄駅 | JR磐越東線 三春駅から車約10分 |
| 入場料 | 無料 |
| 駐車場 | あり(本丸下・無料) |
三春城跡まとめ|戦国山城と藩主居館を楽しむ歴史散策
三春城跡は、戦国期の実戦的な山城の構造と、江戸時代の藩主居館としての機能が同時に体感できる珍しい城跡です。本丸周辺には風呂屋、御座之間、台所、大広間など生活と政務の空間が揃い、城が実際に『暮らしの場』であったことを実感できます。
建物は残っていませんが、地形や石垣、堀切などの遺構を見ながら歩くだけでも当時の城の雰囲気を十分に味わえます。駐車場から本丸までの散策を含め、ゆっくり見て回ると所要時間はおよそ1時間程度です。続日本100名城巡りはもちろん、歴史散策や山城探索が好きな方にもおすすめのスポットです。
