【日本100名城 第83番】宇和島城ガイド|現存天守と伊達家ゆかりの歴史を歩く

【日本100名城 第83番】宇和島城ガイド|現存天守と伊達家ゆかりの歴史を歩く

宇和島城 現存天守の外観

2020年2月23日、愛媛県宇和島市にある宇和島城うわじまじょうを訪れました。宇和島城は日本100名城 第83番に選定されている城跡で、現在は城山公園として整備されています。

この城の最大の特徴は、全国にわずか12城しか残っていない現存天守が残っています。さらに、戦国時代の築城名人・藤堂高虎の縄張りと、江戸時代を通じてこの地を治めた伊達家の歴史が融合した貴重な城郭です。宇和島市街地の中心にありながら自然豊かな城山に築かれ、石垣・曲輪・天守を歩きながら体感できる名城として多くの人に親しまれています。

宇和島城とは|歴史と築城背景

宇和島城うわじまじょうは、慶長6年(1601年)に築城の名手として知られる藤堂高虎とうどうたかとらによって整備された平山城です。城が築かれた城山は標高約70〜80mの独立丘陵で、当時は周囲が海や入り江に囲まれ、自然の地形を巧みに活かした防御性の高い立地でした。

藤堂氏が伊勢へ転封となった後、伊達政宗だてまさむねの長子・伊達秀宗だてひでむねが宇和島藩に入り、ここから明治維新までの約260年間、宇和島藩伊達家の居城として維持されました。城郭は石垣や曲輪が整備され、藩主の居館や藩政の拠点として発展していきます。

現在の天守天守てんしゅは2代藩主・伊達宗利だてむねとしの時代に大規模に整備されたもので、江戸時代の建築様式をよく伝えています。層塔型3重3階構造の天守は、全国にわずか12城しか現存しない「現存天守」のひとつとして知られ、国の重要文化財にも指定されています。

明治維新後、全国の多くの城が取り壊される中で、宇和島城は天守や石垣が保存され、地域の人々の手で守り続けられました。そのため、現在も往時の城郭の構造や姿を間近で感じられる貴重な史跡となっています。

藤堂高虎の築城技術を基礎に、伊達家による整備を重ねた宇和島城は、石垣や曲輪、現存天守から江戸時代の城の防御や居住機能を体感できる貴重な名城です。

城内散策レポート|実際に歩いてみた

① 城山登城口・立ち上がり門

宇和島城 北側登城口の桑折長屋門

宇和島城宇和島城うわじまじょうへの登城は、北側の入口からスタートしました。北側ルートは市街地からアクセスしやすく、城山の自然を感じながら登れる散策コースです。最初に現れるのは、藩政時代の建物を移築した桑折長屋門桑折長屋門くわおりながやもんで、重厚な門構えから江戸時代の藩老屋敷の趣をうかがえます。

宇和島城 桑折長屋門を抜ける石段

桑折長屋門を抜けると本丸へ続く石段が始まり、約15〜20分ほどかけて式部丸や代右衛門丸を通過しながら登ります。苔むした石段や曲輪を歩くと、当時の城郭構造や防御の工夫が目に見える形で感じられ、登城中も城の歴史を体感できます。

② 曲輪を巡る外郭エリア

宇和島城 北側の曲輪エリア

宇和島城の登城ルートでは、北側と南側の曲輪を順に巡ることができます。北側には長門丸、井戸丸、そして本丸に近い藤兵衛丸が配置され、それぞれ本丸への防御や生活空間の役割を果たしていました。北側の曲輪を歩くことで、城の構造や戦略的配置を身近に体感できます。

宇和島城 南側の曲輪

南側には立ち上がり門を起点に、式部丸や代右衛門丸が続きます。これらの曲輪は石垣や土塁と組み合わせて防御ラインを形成し、藩士の屋敷や倉庫、物見櫓などが置かれていたと考えられています。登城中に曲輪を巡ることで、江戸時代の城郭構造と戦略的配置の工夫を同時に感じられるのが魅力です。

宇和島城 曲輪ごとの石垣

曲輪ごとに石垣の形状や地形の使い方が異なり、歩いていると城の設計意図が見えてきます。敵の侵入を遅らせるための屈曲した道や、視界を制限する配置など、戦国期の築城技術の工夫が随所に感じられます。

③ 本丸・現存天守

宇和島城 本丸の現存天守
石段を登りきると、城の最も高い位置にある本丸が現れ、そこに宇和島城天守の姿が目に入ります。現存天守のひとつとして、江戸初期の建築様式や城郭の防御構造を間近で確認できる貴重な場所です。

宇和島城 三重三階構造の天守
宇和島城うわじまじょう天守てんしゅは、現存12天守のひとつで、江戸時代初期の建築様式を色濃く残しています。三重三階の構造は階ごとに少しずつ小さくなり、安定感のあるデザインです。外壁は白漆喰白漆喰しろしっくいで塗られ、瓦屋根とのコントラストが美しいのが特徴です。

屋根には千鳥破風ちどりはふ唐破風からはふが配され、正面には曲線美の唐破風からはふが設けられています。長押なげし格子窓こうしまども外観を彩り、防御だけでなく意匠の美しさも兼ね備えています。小ぶりな三重三階構造は展望塔としても機能し、宇和島湾や市街地を見渡すことができます。

宇和島城 天守からの宇和海の眺望

天守の内部を見学するには、大人200円の入館料が必要です。入口付近には、日本100名城のスタンプも設置されており、城巡りの記念に押印することができます。天守内は江戸時代の木造建築がそのまま残され、太い梁や節のある柱から当時の技術の高さを感じられます。館内を進むと急勾配の階段が各階をつなぎ、登るたびに城の構造や工夫を肌で実感できます。

宇和島城 天守内部の階段と梁

最上階に上ると、宇和島市街や眼下に広がる宇和海の景色が一望でき、かつて海を望む要衝として築かれた城の役割を実感できます。この眺望は、城の立地の重要性を物語るものであり、天守内部の見学とあわせて訪れると、宇和島城の魅力をより深く味わえるポイントです。

④ 郷土館・移築門などの見どころ

宇和島城 城山郷土館

宇和島城の登城路にある城山郷土館は、かつて城の三の丸に建てられた武器庫を改装した資料館です。江戸時代の倉庫を利用した建物自体が歴史的価値を持っています。館内には古写真や民具、祭りの道具などが展示され、宇和島城周辺の生活文化や城下町の様子を感じることができます。入館は無料で、天守や石垣を見学したあとに立ち寄ると、城全体の歴史をより立体的に理解できるスポットです。

アクセス・駐車場・基本情報

所在地 愛媛県宇和島市丸之内
最寄駅 JR宇和島駅から徒歩約10〜15分
入場料 天守観覧:大人200円、小中学生無料
開館時間 9:00〜17:00(最終入館16:30頃)
休館日 年中無休(天候等で変更の場合あり)
駐車場 周辺に有料駐車場あり

宇和島駅からは徒歩圏内で、観光の合間にも立ち寄りやすい立地です。車の場合は城山周辺の駐車場を利用し、そこから徒歩で登城します。登城と見学を合わせた所要時間は約60〜90分が目安です。

まとめ|宇和島城はこんな人におすすめ

宇和島城は、全国に現存するわずか12天守の一つを間近で見られる貴重な城で、戦国時代の築城技術と江戸時代の大名文化が融合した歴史的価値の高い城です。石垣や曲輪、天守内部を歩きながら体感できるため、歴史や建築に興味のある方には特におすすめです。

また、愛媛県には宇和島城のほかにも魅力的な名城が多くあります。城巡りの途中であれば、江戸時代の姿を残す大洲城や、村上海賊ゆかりの海城として知られる能島城跡、藤堂高虎が築いた海城の今治城もあわせて訪れると、四国の城郭文化をより深く楽しめます。

宇和島城は市街地から徒歩でアクセスでき、四国旅行や愛媛の城巡りの途中でも気軽に立ち寄れる名城です。歴史の息づく城を散策できるスポットとして、旅の思い出にぜひ組み込みたい名城です。