【続日本100名城 第183番】久留米城跡を徹底解説|筑後川を望む有馬氏の連郭式平山城

2025年3月6日、福岡県久留米市にある久留米城跡を訪れました。
久留米城跡は続日本100名城 第183番に選定されている城跡で、現在は篠山神社を中心とした公園として整備されています。
この城の最大の特徴は、筑後川沿いの高台に築かれた重厚な石垣と連郭式の曲輪構造です。平山城でありながら、段差を巧みに利用した防御設計が随所に見られます。近世城郭として完成度の高い縄張りを体感できる城です。久留米市街地からも近く、歴史散策を楽しみながら気軽に訪問できる名城です。
久留米城とは|歴史と築城背景
起源は室町時代後期にさかのぼると考えられており、永正年間(1504~1521年)にはこの地の豪族による砦が存在していたとも伝わります。当初は篠山城とも呼ばれていました。その後、戦国時代には九州北部の勢力争いの影響を受け、周辺の有力大名によってたびたび支配者が入れ替わる拠点となります。
城が大きく姿を変えたのは関ヶ原合戦後のことです。慶長6年(1601年)、有馬豊氏が筑後一帯を治めるために入封し、近世城郭としての整備が本格化しました。有馬氏は城の拡張と防御強化を段階的に進め、堀や石垣、曲輪配置を大規模に整えます。こうして久留米城は、複数の曲輪が連続して並ぶ連郭式平山城として完成しました。
江戸時代を通じて久留米藩の政治と軍事の中心として機能しましたが、明治維新後に廃城となります。建物の多くは失われましたが、本丸周辺の石垣や曲輪の地形は現在も良好に残り、往時の城の規模や威容を想像できる貴重な史跡となっています。
城内散策レポート|実際に歩いてみた
今回の散策は、本丸東側に位置する蜜柑丸跡の駐車場からスタートしました。エンジンを止めて車を降りた瞬間、目の前に広がる石垣の迫力に思わず見上げてしまいます。ここはかつて本丸を支える腰郭の一つで、城の防御を下から支えていた重要な場所です。
① 蜜柑丸跡(駐車場)|城のスケールを実感する出発点

蜜柑丸という名は、かつてこの場所に蜜柑畑があったことに由来すると伝わります。現在は平坦な駐車スペースですが、周囲を囲む石垣を見上げると、ここが城の防御ラインの一部だったことがよく分かります。
② 月見櫓跡|高石垣が語る防御の工夫

階段を上ると、すぐに現れるのが月見櫓跡の櫓台石垣です。高さのある石垣が直角に立ち上がり、その上に櫓が建っていた様子を想像すると、城の防御力の高さが実感できます。下の蜜柑丸との高低差がそのまま防御の仕組みになっており、平山城ながら立体的な縄張りが工夫されていることに驚かされました。
③ 本丸御殿跡と篠山神社|城の中心を歩く

月見櫓跡を抜けて歩を進めると、久留米城の中心である本丸跡の広い空間に出ます。この場所には現在、篠山神社が建ち、江戸時代に久留米藩の中枢として政務が行われた御殿の跡地を今日に伝えています。かつての藩主・有馬氏の居城として栄えた久留米城は、築城当時からこの本丸周辺が要の位置でした。境内には多くの石碑や史跡案内板が点在し、城や久留米藩の歴史を解説しています。城域全体が神社の境内となっていますので、拝殿前で手を合わせた後、続日本100名城のスタンプが置かれている篠山神社社務所へと向かいました。
④ 続日本100名城スタンプ(篠山神社社務所)

社務所の窓口では 続日本100名城スタンプ の押印が可能です。押すことができるのは社務所が開いている受付時間内(午前9時〜午後5時頃)のみとなっているため、時間をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
⑤ 冠木御門跡|桝形虎口の防御構造

本丸南側へ進むと、冠木御門跡に到着します。ここは城の主要な出入口の一つで、石垣に囲まれた桝形構造が敵の侵入を防ぐ仕組みになっていました。石垣の配置から門や櫓門が構えていた様子を想像できます。
⑥ 本丸南西部の高石垣群|圧巻の石垣ライン

散策も終盤に差し掛かり、最も目を引いたのが本丸南西側に連なる堂々とした高石垣の列でした。本丸周囲ではひときわ高く積み上げられた石垣が続き、かつてこの上に櫓や門が立ち並んでいた風景を想像させます。特にこの一帯には、かつて重要な櫓が置かれていた坤櫓跡や、城の南側に位置した太鼓櫓跡などの櫓台石垣がはっきりと残っています。こうした遺構を眺めていると、久留米城が有馬氏によって堅牢に築かれた城であったことがよく伝わってきます。石積みと緑豊かな地形が溶け合い、独特の歴史景観をつくり出していました。
アクセス・駐車場・基本情報
| 所在地 | 福岡県久留米市篠山町 |
|---|---|
| 最寄駅 | JR久留米駅から徒歩約15分/西鉄久留米駅から徒歩約25分 |
| 入場料 | 無料 |
| スタンプ設置場所 | 篠山神社社務所(時間内対応) |
| 駐車場 | 蜜柑丸跡付近に駐車スペースあり(台数少なめ) |
城跡は市街地から近く、徒歩でも訪れやすい立地です。散策路は比較的なだらかで、所要時間はゆっくり回って40〜60分程度が目安です。
まとめ|連郭式縄張りと高石垣が魅力の久留米城跡
久留米城跡は、天守などの建物こそ残っていませんが、城の骨格を成す石垣と縄張りが今も力強く往時の姿を伝えています。とくに本丸周辺に連なる高石垣は迫力十分で、近世城郭としての完成度の高さを実感できる見どころです。段差を活かした連郭式の曲輪構造を実際に歩いて体験できる点も、この城跡ならではの魅力といえるでしょう。
また、篠山神社の境内として整備されているため、歴史散策とあわせて、静かな参拝の時間も過ごすことができます。続日本100名城スタンプの設置城でもあり、城巡りを続けている方にとっては外せない訪問地です。
市街地から近くアクセスしやすい立地も大きな魅力で、観光の合間に立ち寄るのにもぴったりです。筑後川を望む高台で、かつてこの地を治めた有馬氏の城を感じながら歩くひとときは、心に残る城歩きの時間になるはずです。久留米を訪れる際は、ぜひこの地に刻まれた歴史の重なりを現地で体感してみてください。

