【続日本百名城 第178番】能島城ガイド|瀬戸内海の海城を上陸体験|村上海賊の本拠地を巡る観光

【続日本100名城 第178番】能島城ガイド|瀬戸内海の海城を上陸体験|村上海賊の本拠地を巡る観光

能島城
2025年10月25日(土)、愛媛県今治市宮窪町の沖合に浮かぶ能島を訪れました。瀬戸内海の中央部に位置するこの小島に築かれた能島城のしまじょうは、村上海賊の一派・能島村上氏の本拠として知られる、日本でも極めて珍しい海城です。

能島城は、島そのものを城域とする水軍特有の構造を持ち、現在は続日本100名城 第178番に選定されています。石垣や天守を持つ一般的な城とは異なり、激しい潮流や岩礁、複雑な海路そのものが防御装置として機能していた点が、能島城最大の特徴です。

この記事では、実際に訪れた体験を交えつつ、以下の3点を紹介します。

  • 能島城の歴史と海城としての特徴
  • 「能島上陸&潮流クルーズ」の体験記
  • 村上海賊ミュージアムの見どころとスタンプ情報

能島城とは|瀬戸内海に浮かぶ村上海賊・能島村上氏の本拠

能島城のしまじょうは、瀬戸内海でも特に潮流の速い海域に浮かぶ小島・能島全体を城域とした「水軍の海城」です。島そのものを要塞化し、周囲の海と潮の流れを防御と支配の手段に取り込んだ構造は、陸上の城とはまったく異なる発想で築かれています。

室町から戦国時代にかけて、この一帯で勢力を振るった三島村上氏の一派・能島村上氏が本拠を構え、瀬戸内を行き交う船舶を監視しながら、海上交通の要衝を押さえていました。能島は単なる拠点ではなく、瀬戸内海の物流と軍事を左右する「海の関所」として機能していました。

築城時期は応永26年(1419年)に村上雅房が拠点化したと伝えられますが、発掘調査からは14世紀中頃〜後半に城として整備された可能性もあります。いずれにしても、中世の早い段階から能島は水軍の牙城として重要な役割を果たしていたことがうかがえます。

戦国期に最盛期を迎えたのは、当主村上武吉むらかみ たけよしの時代です。武吉は毛利氏に属し、木津川口の戦いなどで織田方と対峙しつつ、この海域の制海権をほぼ掌握しました。能島城はまさに「海を制する拠点」として存在感を示していました。

しかし豊臣秀吉による天下統一が進むと、武吉が服属を渋ったことで小早川隆景らの攻撃対象となり、最終的に能島城は明け渡されます。その後、天正16年(1588年)の海賊停止令によって村上水軍は解体され、能島城も役割を終えて廃城となりました。

以後、能島は人が常住しない無人島となったため、城跡は大きく改変されずに残っています。島内には本丸・二の丸・三の丸・出丸の曲輪段差や、守備兵が移動した細い通路「武者走り」、岩礁に穿たれた柱穴など、水軍城ならではの遺構が確認できます。柱穴は船を係留する杭や桟橋の支え跡と考えられ、能島が海と一体で機能していたことを伝えています。

島の周囲は約720mと小規模ですが、南側の属島・鯛崎島を出丸として一体運用。「島そのものが砦であり、海の関所でもある」という構造は世界的にも珍しく、瀬戸内海に生きた村上海賊の戦略と思想を地形から感じ取れる貴重な城跡です。

能島上陸&潮流クルーズ体験記|海から登城する唯一の方法

能島城跡へのアクセス|上陸は公式クルーズ参加が必須

能島城跡を見学するには、観光向けに運航されている「能島上陸&潮流クルーズ」への参加が必須です。上陸付きの便は完全予約制で、公式サイトの運航カレンダーから空席状況を確認し、専用フォームで予約します。

公式サイトの運航カレンダーはこちら

観光シーズンは早めに満席になることが多いため、日程が決まったら早めの予約がおすすめです。

集合場所と受付の流れ

能島城18
当日の集合場所はしまなみ海道・大島にある能島水軍です。ここは村上海賊ミュージアムと同一敷地内にあり、共用駐車場も広いため車でのアクセスも安心です。
到着後は受付で予約名を伝え、乗船便(第1便9:45/第2便11:45/第3便13:45 ※12〜2月は第2・第3便のみ)、所要時間(約75分)、安全注意事項の説明を受けます。

料金と支払い方法

  • 大人:2,500円
  • 中高生:1,700円
  • 小学生:1,200円
  • 幼児:500円

料金には能島城の御城印が含まれています。支払いは事前振込(乗船1週間前まで)当日現地払いが可能です。

乗船前後の過ごし方

受付は出航15〜20分前までに済ませると、トイレ利用も余裕をもって行えます。能島にはトイレ設備がないため、乗船前に必ず済ませておくのが重要なポイントです。また、同一敷地内の村上海賊ミュージアムを前後どちらかに見学すると、海上からの景色と資料展示を組み合わせて能島城の理解が深まります。

船で体感する瀬戸内海の潮流

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出航すると、能島水軍の港を後にし、来島海峡に点在する島々を横目に見ながら能島の周辺海域へと進みます。やがて「荒神瀬戸こうじんせと」と呼ばれる潮流スポットに差し掛かると、水の流れが一気に速まり、岩礁の周囲には潮の筋や小さな渦が現れます。このとき、船のエンジンを止めて潮に押される感覚を間近で体験でき、その迫力は想像以上です。

船には地元のガイドが同乗し、村上水軍の歴史や周辺の海の地形、潮流の見方についてわかりやすく説明してくれます。ただ景色を眺めるだけの遊覧とは違い、「なぜこの島が水軍の拠点として重要だったのか」を意識しながら見ることができる点が、このクルーズならではの魅力です。

能島城跡への上陸と散策

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潮流を体感した後、船は能島の専用桟橋に到着し、いよいよ上陸です。桟橋を上がると、まず南側の比較的平らな場所に立ち、ここでガイドから島全体の見どころや安全面の注意点について説明を受けてから、ガイドと一緒に散策がスタートします。

能島は現在無人ですが、歩きやすい遊歩道が整備されており、本丸・二の丸・三の丸など主要な曲輪を一周しながら散策できます。道は概ね歩きやすいものの、ところどころ細い坂道や傾斜のある箇所もあるため、歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。

散策で見られるポイント

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散策中に見られる主なポイントとしては、段々に削られた曲輪跡(本丸・二の丸・三の丸)、島の縁に沿って設けられた細い通路「武者走り」、そして岩場に残る柱穴(桟橋や船を係留した杭の跡と考えられる)があります。

ガイドの解説を聞きながら歩くと、「この細い武者走りで敵を迎えた光景」や「ここから烽火で合図を送った場面」などが頭に浮かび、教科書の中だけの村上水軍が目の前で動き出すかのように感じられます。

島の眺望と復路

能島城7曲輪をぐるりと回り終えると、島の高台にたどり着き、眼下には大島おおしま伯方島はかたじま、さらには大島大橋を含むしまなみ海道の景色が広がります。瀬戸内海の多島美たとうびと、海上の要衝を掌握していた村上水軍の「海城」としての規模を、実際に肌で感じられる瞬間です。

島内の散策はおよそ30〜40分で一巡し、再び桟橋へ戻って乗船します。港へ戻った後は、同じ敷地内にある村上海賊ミュージアムで資料をじっくり見学したり、館内のカフェで休憩したり、能島水軍の食堂で新鮮な地魚料理を楽しんだりと、海から陸へと舞台を移して、村上水軍の世界をさらに深く体感できます。所要時間は説明通り、全体で約75分でした。

村上海賊ミュージアム|能島城見学前後に立ち寄りたい資料館

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村上海賊ミュージアムには、主に以下の内容がわかりやすく展示されています。

  • 村上氏と瀬戸内海の地理
  • 水軍の組織と役割
  • 船・武具・信仰
  • 能島城をはじめとする海城の構造

能島城2
特に船の模型や海域図は必見で、展示を見た後にクルーズに参加すると「なぜここが要衝か」が景色と結びついて理解できます。

見学所要時間は30〜40分で、映像や模型もじっくり見る場合は1時間ほど見込むと安心です。おすすめは、先にミュージアムで村上海賊の全体像を把握し、その後クルーズで実際の海と城跡を体験する順番です。

JiBaカフェ能島

村上海賊ミュージアムの館内には、地元の食材を活かした「JiBaカフェ能島」が併設されています。人気の一品は、宮窪産ハモをサクサクに揚げた「ハモカツサンド」と、ほうろく玉のような見た目の「海賊にぎりめし」です。

能島城(続日本百名城178番)のスタンプ情報

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能島城のスタンプ
は、村上海賊ミュージアム館内に設置されており、城跡にはありません。クルーズに参加しなくても押印可能です。

休館日

  • 毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
  • 年末年始(12月29日〜1月3日)

スタンプ目的の場合は、事前に休館日を確認しておくと安心です。

まとめ|海から攻め、海に守られた能島城という海城

能島城は、石垣や天守を持つ従来の城とは異なり、島そのものと周囲の海を防御に活かした「海城(海上の城)」として知られる、瀬戸内海の歴史スポットです。村上海賊・能島村上氏の本拠地として築かれ、瀬戸内海の潮流や岩礁を利用して海上交通の要衝を支配したその構造は、世界的にも珍しい海城の遺構として注目されています。

能島城をより深く体感するには、「能島上陸&潮流クルーズ」に参加するのがおすすめです。船上では荒神瀬戸の速い潮流を間近で体感でき、上陸後は本丸・二の丸・三の丸の曲輪跡や細い通路「武者走り」、船を係留した柱穴など、海城ならではの遺構を巡ることができます。島の高台からは、多島美やしまなみ海道の絶景を一望でき、海上から陸まで一体で村上海賊の戦略を感じられる、能島城の体験型観光が楽しめます。

村上海賊ミュージアムでは、村上水軍の歴史や海城の仕組みを模型や資料で学べるほか、地元食材を活かした「JiBaカフェ能島」の軽食も楽しめます。また、能島城の続百名城のスタンプはミュージアム内で押印可能でした。