【陸中一宮】駒形神社の歴史と由緒|延喜式神名帳に名を連ねる奥州屈指の古社

【陸中一宮】駒形神社の歴史と由緒|延喜式神名帳に名を連ねる奥州屈指の古社

全国の一之宮巡りをしている中で、今回は岩手県奥州市水沢に鎮座する陸中一宮 駒形神社りくちゅういちのみや こまがたじんじゃ
に2025年11月21日(金)に参拝してきました。
北上川流域の穏やかな田園風景に囲まれた境内には、陸中国一之宮らしい凛とした空気と、静かで心が落ち着く時間が流れていました。
本記事では、駒形神社の由緒やご祭神、境内の見どころを、初めての方にもわかりやすくご紹介します。

陸中一宮 駒形神社 概要

  • 鎮座地:岩手県奥州市水沢中上野町
  • 御祭神:駒形大神こまがたのおおかみ
  • 社格:陸中国一之宮(延喜式神名帳所載)
  • ご利益:交通安全、開運招福、家内安全

駒形神社とは|北上川流域を守護してきた陸中一之宮

駒形神社こまがたじんじゃは、北上川流域のほぼ中央に位置する、陸中国随一の格式を誇る一之宮です。
古くは北上川東岸の駒ヶ岳を神体山として仰ぎ、山岳信仰・太陽信仰、そして馬にまつわる信仰が重なり合う形で成立したと伝えられています。

現在は奥州市水沢の市街地近くに社殿が整えられ、今も地域の人々の篤い崇敬を集める、岩手を代表する古社です。

陸中一宮 駒形神社の由緒

駒形神社のはじまりは、今からおよそ1500年前雄略天皇ゆうりゃくてんのうの御代(5世紀中ごろ)にさかのぼります。

当時、関東地方では毛野けぬと呼ばれる豪族が勢力を持ち、赤城山を神聖な山として崇めながら各地へ進出していきました。
この一族は、外輪山を持つ姿の整った山や、連山の中で二番目に高い峰を選び、
駒ヶ岳こまがたけ駒形山こまがたやまと名付け、祖神である駒形大神こまがたのおおかみをお祀りしたと伝えられています。

その信仰は奥州にも及び、胆沢平野から雄大な姿を望める焼石連峰の一峰に神を勧請したのが、駒形神社の起こりとされています。
これを行ったのが、上毛野氏の流れをくむ上毛野胆沢公かみつけのいさわのきみで、時代は雄略天皇の御代(456年頃)と伝わります。

山頂信仰から国家神社へ

当初、駒形大神は駒ヶ岳の山頂にお祀りされていました。
仁寿元年(851年)には慈覚大師じかくだいしによって山頂に社殿が建立され、
貞観4年(862年)には東北地方でも最高位となる神階を授かります。

さらに延喜式神名帳にも記載され、駒形神社は国家から正式に認められた神社となりました。
征夷大将軍坂上田村麻呂さかのうえのたむらまろをはじめ、源頼義みなもとのよりよし義家よしいえ父子、奥州藤原氏四代にわたり篤い崇敬を受けたことも、その格式を高めた理由のひとつです。

なお、全国に百社以上ある駒形神社の中で、延喜式神名帳に記載されているのは、
宮城県の駒形根神社こまがたねじんじゃと、当社・駒形神社の二社のみとされています。

現在の鎮座地について

明治36年(1903年)、長く山頂に祀られていた駒形大神は、より多くの人々が参拝できるよう、現在の奥州市水沢の地へと遷座されました。
現在の本社は、地域に寄り添う里の一之宮として親しまれています。

ご祭神|駒形大神とは

駒形神社では「駒形大神こまがたのおおかみ」というお名前で、次の六柱を総称してお祀りしています。
これらは宇宙・大地・太陽の系譜をつなぐ、きわめて神格の高い神々です。

  • 天照大御神あまてらすおおみかみ ― 太陽を司るもっとも尊い神
  • 天常立尊あめのとこたちのみこと ― 宇宙のはじまりを司る神
  • 國狭槌尊くにのさづちのみこと ― 大地を守護する神
  • 吾勝尊あかつのみこと ― 天照大御神のお子さま
  • 置瀬尊おきせのみこと ― 天照大御神のお孫さま(天孫降臨の神)
  • 彦火火出見尊ひこほほでみのみこと ― 天照大御神の曾孫(山幸彦)

境内を歩く|参拝の流れと見どころ

大鳥居

駒形神社12
境内入口に立つ大鳥居をくぐると、先ほどまでの日常とは空気が一変し、自然と背筋が伸びるような感覚を覚えます。
鳥居の前には阿吽の狛犬が鎮座し、参拝者を迎えながら、神域を邪気から守る存在として境内を見守っています。
また、大鳥居の上部には「駒形神社」と記された扁額が掲げられ、ここが陸中一宮として古くから信仰を集めてきた神社であることを伝えています。

手水舎

駒形神社9
大鳥居を潜り参道を直進すると手水舎がありますので、こちらで心身を清めて参拝へ進みます。

神門

駒形神社1
手水舎で身を清めたあと、そのまま参道を直進すると、正面に立派な神門があります。
また、神門前の右手には絵馬掛け所が設けられており、参拝者が願いを込めて奉納した絵馬が数多く掛けられています。
一枚一枚に込められた祈りが、この神社が今も多くの人々に信仰されていることを感じさせてくれます。

拝殿・本殿

駒形神社2
神門を潜り正面に見えるのが本殿です。現在の本殿は明治36年(1903年)に整えられた社殿で、もともとは鹽竈しおがま神社の本殿を移築・改修したものと伝えられています。
駒形神社3
屋根が前方へゆるやかに伸びる「三間社流造」という伝統的な様式で建てられ、装飾を抑えた落ち着いた佇まいが、一之宮らしい格式を感じさせます。
かつて駒形大神は駒ヶ岳の山頂に祀られていましたが、現在は多くの参拝者が訪れやすいこの地で、北上川流域を静かに見守っています。

神楽殿

駒形神社8
拝殿・本殿のそばに建つ神楽殿は、銅板葺き屋根を備えた簡素な木造建築で、神社の祭礼や神事に欠かせない重要な社殿です。春の桜祭りや10月頃に行われる例祭では、神楽や郷土芸能が奉納され、陸中地方に伝わる伝統芸能が今も大切に受け継がれています。

境内社

駒形神社6
境内社の水沢招魂社には明治維新以来の戦没者の英霊がお祀りされています。

駒形神社5
境内社の鹽竈しおがま神社は、駒形神社がこの地に遷座する以前から鎮座していました。ご祭神は、経津主神ふつぬしのかみ天児屋根命あまのこやねのみことで、海上安全や交通安全のご利益で知られています。

駒形神社4
こちらは山神社で、ご祭神には大山祇命おおやまずみのみこと木花咲耶姫命このはなさくやひめのみことをお祀りしています。古くから山林業や建設業の守護、安産祈願などのご利益で知られています。

駒形神社7
境内社の縁美須神社は、厄除け・縁結び・商売繁盛のご利益で知られ、信仰を集めています。

参拝の所要時間と駐車場情報

所要時間の目安

  • 参拝のみ:約20〜30分
  • 境内散策含む:約40分前後

駐車場情報

  • 駐車場:あり(無料)
  • 台数:普通車 数台〜十数台
  • 場所:境内入口付近
  • 注意点:冬季は積雪・路面凍結に注意

駒形神社9

まとめ|一之宮巡りで訪れたい、陸中一宮 駒形神社

陸中一宮 駒形神社は、北上川流域で篤い信仰を集めてきた、陸中国を代表する一之宮です。
実際に参拝してみて、山頂信仰に始まる古い歴史と、延喜式神名帳に名を連ねる格式を感じることができました。

現在は里に鎮座し、綺麗に整備された境内と社殿が、ゆっくりと参拝できる環境を整えています。
本殿を中心に境内社を巡ることで、陸中の地に息づく信仰の重なりを体感することもできました。

岩手・奥州の一之宮として、歴史と信仰が今も息づく駒形神社に是非一度参拝してみてはいかがでしょうか。