【日本100名城 第80番】湯築城跡を徹底解説|道後公園に残る河野氏の中世土の城

2020年2月22日、愛媛県松山市の道後公園内にある湯築城跡を訪れました。
湯築城は日本100名城 第80番に選定されている中世城郭で、現在は道後公園として整備されています。
石垣や天守がそびえる近世城郭とはまったく異なり、湯築城の主役は土です。二重の堀と土塁、曲輪の配置が良好に残っており、中世の守護の本拠にふさわしい大規模な城郭構造を体感できます。全国的に見ても貴重な史跡のひとつです。
道後温泉本館からも徒歩圏内という立地の良さもあり、観光の合間に立ち寄れる歩いて楽しい歴史スポットとしても魅力があります。
湯築城とは|河野氏が本拠とした伊予の中世城郭
湯築城は、伊予国の有力武士であった河野氏が本拠とした城です。築城は南北朝期前後と考えられており、道後の丘陵地形を利用して築かれました。
城の中心となる「本壇」をはじめ、「杉の壇」「中壇」など複数の曲輪が段状に配置され、その周囲を内堀・外堀が取り囲む構造になっています。これは戦国期の石垣の城とは異なる、土を主体とした防御の考え方を色濃く残す城づくりです。
戦国時代の後期になると、豊臣秀吉による四国平定の影響を受け、河野氏は勢力を失い、湯築城もその役割を終えて廃城になったと考えられています。しかし、発掘調査によって中世城郭の姿が明らかになり、現在は国史跡として保存・公開されています。
城内散策レポート|道後温泉から歩いて巡る湯築城跡
① 入口付近の堀と土塁
道後公園の入口をくぐると、最初に視界に広がるのは水をたたえた堀と、その奥にゆるやかに伸びる土塁の風景です。石垣の城のような迫力とは違いますが、地面を掘って堀をつくり、掘り出した土を積み上げて守りのラインを形づくった様子がよく伝わってきます。まさに土で築かれた城であることを実感できる景観です。
今は公園として整えられているため、散策やジョギングを楽しむ人の姿も多く見られ、歴史ある遺構が日々の暮らしの風景に溶け込んでいる点も、この場所ならではの魅力に感じられます。
② 復元武家屋敷エリア
堀を渡って城の内側へ進むと、発掘成果をもとに整備された復元武家屋敷のエリアが現れます。茅葺き屋根に土壁という落ち着いたたたずまいの建物は、華美さはないものの、武士の生活空間としての機能性を感じさせ、ここで暮らしていた家臣たちの日常を思い描かせてくれます。
建物の内部には解説パネルも用意されており、湯築城が戦いのためだけの城ではなく、守護である河野氏が政務や生活の拠点とした「館」の性格をあわせ持っていたことが理解できる内容になっています。
③ 土塁の上を歩く散策路

武家屋敷の裏手には大きく土が盛られた土塁が続いており、その上は歩ける散策路になっています。実際に足を運んでみると、城の内側と外側で地面の高さが大きく違うことがよく分かり、ここが防御のための重要な構造だったことを実感できます。
場所によっては、視線を遮るためにさらに土を盛った部分も残っており、外から城内の様子を見通しにくくする工夫が施されていたことも見て取れます。歩きながら観察することで、土塁が単なる土の壁ではなく、しっかりとした防御の役割を担っていたことが伝わってきます。
④ 本壇(展望ポイント)

湯築城跡を歩いていくと、丘の最も高い位置に広がる平坦地にたどり着きます。ここが「本壇」と呼ばれる主郭で、伊予の守護・河野氏が本拠とした城の中心部にあたります。城主の居館や重要な施設が置かれていたと考えられ、まさに城の中枢を担った場所です。
内堀・外堀に囲まれた城内でも特に高所にあるため、周囲の様子を見渡しやすく、防御と指揮の両面で重要な役割を果たしていたことがうかがえます。今は広場として整備されていますが、その広さと眺望の良さから、ここが城の中心だったことを実感できます。
⑤ 湯築城資料館・土塁展示室
道後公園内の国史跡・湯築城跡を訪れたら、「湯築城資料館」はぜひ立ち寄りたい施設です。館内では、伊予国守護・河野氏の居城だった湯築城の歴史や城の構造が、パネルや映像でわかりやすく紹介されています。武士たちの暮らしについての展示もあり、ここで予習してから城跡を歩くと、遺構の見え方がぐっと変わってきます。発掘調査で出土した土器や陶磁器、武家屋敷に関する資料も展示され、中世の城下の様子を具体的に感じられます。
入館は無料、開館時間は9:00〜17:00。毎週月曜(祝日の場合は翌日)と年末年始は休館です。日本100名城スタンプは館内に設置されており、休館日でも押印できる場合があります(※設置状況は変更の可能性あり)

外堀沿いの土塁の中には、「土塁展示室」と呼ばれる小さな見学スペースが設けられています。土塁の一部をそのまま掘り抜いて造られており、内部に入ると盛り土の断面をすぐ目の前で観察できます。
岩や砂、粘土に加え、当時の土器片などが混ざった層が年代ごとに重なった状態で保存されています。手が届きそうな距離でじっくり観察できるのも、この展示室の大きな魅力です。断面を詳しく見ると、土を斜めに少しずつ積み上げていく「掻揚げ土塁」の構造がはっきり読み取れます。写真では伝わりにくい土の層の重なりや色合いの違い、石が混じる部分などから、当時の築城作業の工程や土の調達場所まで思い描くことができます。
アクセス・駐車場・基本情報
| 所在地 | 愛媛県松山市道後公園 |
|---|---|
| 最寄駅 | 伊予鉄道「道後公園」電停から徒歩すぐ/「道後温泉」電停から徒歩約5分 |
| 入園料 | 無料(資料館も無料) |
| 資料館開館時間 | 9:00〜17:00(最終入館16:30) |
| 休館日 | 月曜(祝日の場合翌平日)・年末年始 |
| 駐車場 | 道後公園駐車場あり(有料) |
道後温泉観光とあわせて立ち寄りやすく、徒歩観光にも組み込みやすい立地です。
まとめ|“土の城”を歩いて体感できる貴重な史跡
湯築城跡は、天守や高石垣がそびえる城とはまったく異なり、堀や土塁、曲輪の配置から中世城郭の構造を体感できる貴重な史跡です。実際に歩いてみると、地形を巧みに利用した防御の工夫や、守護の本拠としてのスケールが随所から伝わってきます。
復元武家屋敷や資料館の展示によって当時の暮らしや城の役割も具体的にイメージでき、歴史に詳しくなくても楽しみながら理解を深められるのも大きな魅力です。道後温泉から徒歩圏という立地の良さもあり、観光の合間に立ち寄れる学びながら歩ける城跡として満足度の高いスポットです。日本100名城スタンプの設置城でもあり、城めぐりの記録を集めている方にも外せないスポットです。
近世城郭の代表である松山城とあわせて巡れば、時代による城づくりの違いを実感できると思います。湯築城跡は、中世の土の城の奥深さを気軽に体感できる貴重な史跡で、松山観光や道後温泉散策の際にはぜひ立ち寄りたいスポットです。





